障害者の雇用を実現したモデルとなっている京丸園の作業場=浜松市鶴見町
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「段差がなく、見通しの良い平地が続く会場は、安心して生徒を活動させることができた。障害者が“一人で来られる博覧会”だったことがうれしい」。浜松市江之島町の県立浜松養護学校の徳増久子教諭(48)は浜名湖花博を振り返り、感激を新たにした。
園芸や農耕が障害者や高齢者を含むすべての人の心身の健康増進に効果があるとされ、全国的にその効果に関心が高まっている。その「園芸福祉」という概念を、県では「ユニバーサル園芸」と呼び、浜名湖花博は一つの実践の場となった。会場内通路の傾斜を4%以下にしたのをはじめ、花壇やパビリオン、トイレ、ベンチの設営などハード面で、さまざまな取り組みを繰り広げた。
その中で、関係者らが「最も画期的な取り組みだった」と話すのは、障害者の長期的な参加だ。今回、会場内には車いすで作業ができる立ち上がり式の花壇「レイズドベッド」を約三十基設置。植栽や手入れは、県西部地区の養護学校の児童生徒が長期的に担当した。特に香りや触感など五感で楽しめる植物を取り入れる工夫を凝らしたほか、農業者や造園業者らでつくる民間組織「しずおかユニバーサル園芸ネットワーク」のメンバーがジョブコーチとして指導にあたった。
同ネットワークの副代表を務め、水耕栽培に取り組む浜松市鶴見町の京丸園園主鈴木厚志さん(40)は、七年ほど前から知的障害者らを従業員として受け入れ、今では約二割を障害者が占める。鈴木さんは「いまだに障害者を農業分野の労働力として受け入れることに対する偏見がある。博覧会という大きな舞台で障害者が活動する場が提供されたことだけでもすごいこと」と話し、障害者の就職や自立促進に期待を寄せる。
県が花博会期中に行った調査によると、「園芸福祉」という言葉について「知らない」との回答が七割以上を占めた。雇用の促進や地域の受け皿が強く求められている。県農業水産部農業振興室の吉田茂主幹は「今後は障害者雇用のモデル事業などを実施し園芸福祉の実践の場を積極的に確保していきたい」と話している。
(浜名湖花博取材班)
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